実は、今期は珍しく「CHANGE」以外にもう一本のTVドラマを見ていました。それがフジテレビ系列火曜夜9時からの「絶対彼氏」でした。原作は渡瀬悠宇の少女漫画らしいのですが、例えば映画「A.I.」のような題材をどう描くのか見てみたくなったのです。
ただ、これは最終回までは何も書けないな、と思っていました。どう終わるかによって、この作品全体への印象はガラリと変わるからです。
で、24日に最終回。不覚にもボロ泣きしてしまいました。←バカ?
ラストは期待した通りのものだったのです。それがドンピシャ過ぎたので、却って素直に泣けた、というのがボクの印象です。「絶対彼氏」なるロボットの天城ナイト(速水もこみち)は、購入者である井沢梨衣子(相武紗季)への愛を貫こうとするあまり既成プログラムを超え、とうとう機能停止してしまったのです。つまり、ロボットの死です。
原作を含め、このような題材そのものが、ボクらやさらに若い世代の「生身の人間との恋愛はめんどくせぇ」という世相を反映している、とか何とかいう分析は結構です。
それより、このドラマでは終盤に近付くほど、ナイトが人間らしくなっていき、また意外にも、もこみちがそれを巧く演じていたので、視聴率低迷でドラマが打ち切りになる事を「レガる」とまで言わしめたかつての「レガッタ」コンビである速水・相武を配するCXの無謀な態度にも関わらず、このドラマは高視聴率をはじき出していました。
そしてラストカット。所謂「死」を迎えたナイトは元のケースに収められています。彼の手には、(見つけたのはナイトだが)梨衣子から貰った四葉のクローバーのお守り、その首には、梨衣子が編んで呉れたマフラーが巻かれています。開発者の並切(佐々木蔵之助)は最後に言います。「いい夢見ろよ」と。
これはフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」以来のSFのテーマでしょうか。
しかし、ボクはこの唯物論者、或いは不可知論者には恐らく意味不明であろう展開にこそ賞賛のスポットライトを当てたいのです。
このロボットは機能停止したわけで、もはやただの物体です。唯物論では人間の死体も同様と考えます。即物的な表現とも言えましょう。安倍政権下では、柳沢伯夫厚労相が「女性は産む機械」と発言して問題視されましたが、あの人は唯物論者なだけです。だから悪気は一切無かったでしょう。
ボクは唯物論や不可知論を否定したいのではなく、今日の日本社会が還元主義的になり過ぎているように思っていたので、こういうドラマは「古臭くて新鮮」だったのです。ナイトに思いを馳せた、いや、もう一度ナイトに会ってみたいと感じた女性は、その心を大切に現実社会でも生かしていって欲しいと思います。
男のボクから見ても「きっとナイトはいいヤツだった」と思いを馳せる日々を今送っています。先日靖国神社を参拝した身として、今頃ナイトは梨衣子との楽しい想い出を振り返っているだろう、と思いたいのです。
最後にもう一つ。並切は梨衣子にナイトの死を告げた時、彼の焼けこげたICチップ(CPU使わなかったの?)を手渡し、それがあり得ない異常であった事を指摘して「これが、あいつが一生懸命生きた証です」と言います。それはもうただの部品以上のものでしょう。
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